2024-01-01から1年間の記事一覧

読んだの記4『義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成 ] 信州姨拾山 (義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成8)』

以前フェイスブックに残した感想から転載(2017.5.16のもの)。 望月太郎兵衛の造形がユニーク。他の作品ではあまり見ない智者振りに説得力がある。前半で首実検を景事風に描写しているのも珍しい物語構成。 望月は案外常識人だったので、あらぬ期待をかけてし…

読んだの記その3「禅鳳雑談」(『古代中世藝術論』所収<1980 岩波書店>)

「大原御幸」や「芭蕉」のような金春禅竹(1405-1470?)の作品が好きになって、彼の孫、禅鳳(1454-1532)の芸論があることを知って『古代中世藝術論』所収の「禅鳳雑談」だけを抜き出して読んでみた。上・中だけで下は何処なのだろうか。解説(守屋毅による)で…

読んだの記2 義太夫節浄瑠璃未翻刻作品集成 18 『梅屋渋浮名色揚』

松田和吉作。享保15(1730)年頃。梅屋由兵衛物。 由兵衛が善人として描かれている、ようだが、人物像に統一感がない。それは地の文が、由兵衛の義理堅さを謳っているのだが、中の巻で叔母に無心した金を落としたり、上の巻に、旧主の妻(匿うため妾と見せかけ…

読んだの記1 ブッツァーティ『タタール人の砂漠』(脇 功訳 2013年 岩波書店)

傑作、かどうかは分からないが、間違いなく記憶に残る良い作品だと思う。 この人には「イタリアのカフカ」という賛辞があるらしい。が、あまり当てはまるところはないような気がする。カフカの作風は、アナロジカルな例えだが、文学のキュビズム(ただし私は…

ジャン=エミル・マルクー(ヴァンニ・マルクー)

歌手(声楽)の好みが独特過ぎて、大概理解されない。まず古すぎる。私自身の好みだけで動画を散策すると、気付いたら骨董並の歌手ばかり物色している時があった(最近は余り見る余裕がない)。 一度だけ、もう20年以上前か、かのSPレコードにおける牙城、富士レ…