以前フェイスブックに残した感想から転載(2017.5.16のもの)。 望月太郎兵衛の造形がユニーク。他の作品ではあまり見ない智者振りに説得力がある。前半で首実検を景事風に描写しているのも珍しい物語構成。 望月は案外常識人だったので、あらぬ期待をかけてし…
「大原御幸」や「芭蕉」のような金春禅竹(1405-1470?)の作品が好きになって、彼の孫、禅鳳(1454-1532)の芸論があることを知って『古代中世藝術論』所収の「禅鳳雑談」だけを抜き出して読んでみた。上・中だけで下は何処なのだろうか。解説(守屋毅による)で…
松田和吉作。享保15(1730)年頃。梅屋由兵衛物。 由兵衛が善人として描かれている、ようだが、人物像に統一感がない。それは地の文が、由兵衛の義理堅さを謳っているのだが、中の巻で叔母に無心した金を落としたり、上の巻に、旧主の妻(匿うため妾と見せかけ…
傑作、かどうかは分からないが、間違いなく記憶に残る良い作品だと思う。 この人には「イタリアのカフカ」という賛辞があるらしい。が、あまり当てはまるところはないような気がする。カフカの作風は、アナロジカルな例えだが、文学のキュビズム(ただし私は…
歌手(声楽)の好みが独特過ぎて、大概理解されない。まず古すぎる。私自身の好みだけで動画を散策すると、気付いたら骨董並の歌手ばかり物色している時があった(最近は余り見る余裕がない)。 一度だけ、もう20年以上前か、かのSPレコードにおける牙城、富士レ…